『大長編 タローマン 万博大爆発』感想

当たり前だけどネタバレも一部書いてるので注意。

観るまで不安だったのよ。 タローマン好きなんだけど、あれって5分だからちょうどいいみたいなところ、あるじゃないですか。 あるのよ。 旨いんだけど、味がすごい濃い料理みたいな。 それを山盛りで出されても、途中で飽きるじゃん。 飽きるのよ。 もう若くないんで…。

で、観たわけだけど、まず思ったのは最初から最後までしっかりタローマンだったなって。 たまにあるじゃないですか、劇場版のシナリオだとなんか作風違うよね…みたいなの。 たまにどころじゃないかもしれん…。

タローマンはだいたい60〜70年代の雰囲気を再現しながら作られてるわけだけど、今作のシナリオはそこまでの古さは感じなかった。 ベタではあるけど、00年代あたりで定番化したシナリオという感じ。 ただ絵面もそうだし、要所要所でタローマンらしい小ネタが挟みまくるので、そこのズレは全然気にならなかった。 というか古臭い絵面を見せる演出が、とにかく頑張っていて感動した。 映像や音声のフィルタはもちろん、久しぶりに見たよフィルム交換の黒丸。 そういえば最近まったく見なくなったなあ。

ただ映像と音声のフィルタはそれが仇になって、あんまり劇場で観る喜びは薄かったなあって思った。 スクリーンで観といてよかった、って感じるシーンはあるんだけど、全体的には家のTVやモニタで観てもいいよなあ、という感じ。 特に音声周りは昔らしくセリフ全般の音圧高めなんで、ちょっと耳が辛くなってきたところはある。

それと105分の長さは結局どうだったかというと、やっぱりちょっと長くない?って思うところはあった。 たぶん80分ぐらいでもよかった。 まあそこは人の好みによるだろうけど。

そしてラストの山口一郎による観客を完全に置いてけぼりにする思い出話。 劇場の空気がちょっと困惑というか、触れちゃいけない人に話しかけられたみたいな空気感ぽくなって、ちょっとおもしろかった。 たぶんあの人とこっちの世界線がそもそも違うんだろうな。 あの男が見てるタローマン万博大爆発は、いま観たやつときっと違う。

あと鏡使ったあの登場人物の造形は、ちょっと感動すら覚えた。 あれすごいわ。

つまり、タローマン好きな人は観に行って損はないと思った。 TOHO系列の映画館ぐらいしかないのと、鬼滅関連のせいで売店が死ぬほど混んでるという映画館自体の問題点さえ目をつぶれば。